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IDMPD-BJ:骨・関節の遺伝病の疾患遺伝子の遺伝子変異と遺伝子多型の統合データベース

 骨系統疾患コンソーシウムでは、現在、国内・海外から臨床データ(臨床所見・画像情報)を収集し、骨・関節の遺伝病の疾患遺伝子の遺伝子変異と遺伝子多型の統合データベース (Integrated Database for Mutations and Polymorphism of Disease Genes for the Bone and Joint Disease: IDMPD-BJ) の作成を進めています。

このデータベースは、平成18年度科学研究費補助金(研究成果公開促進費)等により作成しています。


IDMPD-BJとは?―データベース作成の目的

世界の骨系統疾患ネットワーク

 疾患遺伝子の変異解析、遺伝子診断の最終段階においては、患者サンプルで正常(リファレンス・シーケンス)とは異なる配列を同定した上で、その配列が多型であるのか、変異であるのかを判定する必要があります。同定された配列が、既知の変異、叉は既知の遺伝子多型であれば、その後の分子遺伝学的解析は全く不要になります。よって、効率よく正確に遺伝子診断を行なうためには、遺伝子の変異、多型のデータベースが不可欠です。しかし、両者共に未整備で、これらを統合したデータベースはありません。骨・関節の単一遺伝病は、疾患の数が多く(200以上)、表現型が多彩で、年齢による変化が大きく、かつ、有効な補助診断法(血中マーカーなど)に乏しいため、遺伝子診断のニードが非常に高く、私たち(骨系統疾患コンソーシウム)は、骨・関節の単一遺伝病の遺伝子変異の解析研究を大規模に行なってきました。その過程で、多くの疾患遺伝子の遺伝子変異と遺伝子多型を同定し、その表現型との対応のデータを収集しました。この中には、表現型の確認された骨・関節の単一遺伝病の患者の300名余の疾患データ(病歴、約500枚のレントゲンフィルムなどを含む。)と遺伝子変異データ、並びに、50余の疾患遺伝子のデータ、遺伝子変異データ、遺伝子多型データ(遺伝子多型の位置と日本人集団での頻度)を含んでいます。本データベースは、これらを電子化し、疾患、遺伝子、遺伝子多型、どちらからでも検索可能なように体系的に整理、分類するものです。遺伝子診断や疾患分類、遺伝子機能解析上、ポイントになる例に関しては、表現型のデータを添付します。データは、個人情報の保護のため、連結不可能匿名化した上で、アクセス出来る内容には個々にパスワードを設定し、それぞれの閲覧者の職種等によりアクセス出来る情報の範囲を限定して、患者の個人情報の保護をはかるシステムとします。このデータベースが骨・関節の単一遺伝病の疾患遺伝子の診断補助、及び遺伝子解析研究に貢献するものは大きく、また、変異と多型に関する統合データベースは、世界的にも初めての試みであり、骨・関節の単一遺伝病での成功は、すべてのカテゴリーの単一遺伝病の同様のデータベースの模範となると考えられます。


コンソーシウムでの遺伝子診断とデータベースへの登録の流れ

データベース登録までの流れ

(1)まず、依頼の概要をコンソーシウムへメールまたは郵便にてお知らせください。(2)依頼に対して、私たちはIDを発行し、正式に受付開始となります。(3)受付開始の後、具体的な臨床所見・画像情報を送付していただきます。このとき、臨床所見は臨床診断に必要な情報、もしくはサマリー(こちらからダウンロードすることができます。Excel形式)を参考にしていただくか、サマリーへ直接書き込んでいただいてもかまいません。(4)すべてのデータが揃った後、コンソーシウムメンバーにより初期診断・鑑別診断を行い、(5)最終的な確定診断をすることになります。


データの収集状況

 図1は、データの収集数の推移を示したものです。2005年7月より収集・整理を開始し、現在105件(2007年7月1日現在)のデータが登録されています。

図1. データベース登録件数の推移
図1. データベース登録件数の推移

 図2は、データベースの登録内容の地方別の内訳を示したものです。

図2. 登録データの地方別内訳
図2. 登録データの地方別内訳

表1. 収集済みデータの一例

確定診断名臨床情報の有無画像情報の有無
Kaschin-Beck病
Cartilage hair hypoplasia
Acrodysostosis
Achondrogenesis
軟骨低発生症
Engelmann
hypophosphatasia
FOP (Fibrodysplasia ossificanse progressiva)
OI (osteogenesis imperfecta)
multiple synostosis syndrome
Shwachman症候群
type II collagenopathy / Spodyloperipheral dysplasia
chondrodysplasia punctata (CDP)
AR-MED
Dysosteosclerosis

本データベースの<臨床情報>の公開予定と利用方法

 現在、主にMicrosoft Excelを用いてデータ整理を行なっています。primer リスト遺伝子多型のリストと共に、最終的にはWebデータベースですべてのデータ公開をする予定です。

 本データベースを作成するにあたり、患者さんの個人情報は消去し、プライバシーの尊重と保護を徹底していますが、公開するデータには臨床像などが含まれます。よって、本データベースにおける個々の臨床情報を閲覧するためには、こちらから発行するIDとパスワードを必要とすることにします。

 なお、primer リスト遺伝子多型のリストはID、パスワードがなくてもご覧になれます。

  
管理・運営:骨系統疾患コンソーシウム